喫煙について

2012-06-29

喫煙について

喫煙が健康に及ぼす影響とは何か、喫煙による病気の症状・原因などについて紹介。喫煙に関する有害な物質などを理解しましょう!

まいにちを健康的な生活を送るために生活習慣病ガイドなど、さまざまな情報をご提供します。

喫煙が健康に及ぼす影響(2)

わが国でも屋内の公共の場所を禁煙にした地域から、心疾患や呼吸器疾患の減少が報告されています。近年、受動喫煙規制を行った国や地域においては、急性心筋梗塞などが10~20%、多いところでは40%程度減少したとの報告が相次いでいます。このことから、米国などからは「受動喫煙は急性の循環器疾患と関連がある」との判断がなされています。

タバコは喫煙者本人だけではなく、周囲の非喫煙者にまで健康被害をおよぼすことが大きな問題であり、とくに学童・乳幼児・妊婦などにおよぽす悪影響は計り知れません。喫煙は多くの健康被害をもたらしますが、喫煙の影響が最も顕著なのは肺がんと虚血性心疾患(心筋梗塞、狭心症)であるといわれています。肺がんに限れば喫煙の影響は70%程度といわれていますが、肺がん以外の多くの種類のがんにも喫煙が影響していることを再認識しなければなりません。

タバコに含まれているニコチンには習慣性があり、タバコを止められないのはニコチンによる習慣性の問題を抜きには考えられません。このことから、喫煙者本人の意志の問題だけではなく、タバコを止められないのは病気であるとの認識に立ち、現在ではタバコを止めたくても止められない人を対象に、「禁煙外来」などで積極的に禁煙支援を行っており、これらの禁煙プログラムや薬物治療には健康保険が適用される時代になっています。

「酒は百薬の長」といわれていますように、適量飲酒者のほうが平均寿命が長いことが疫学的に明らかとなっているのに対して、タバコは「百害あって一利なし」との認識に立ち、喫煙者に対しては1日も早い禁煙の実行と社会全体での支援体制が求められています。

※禁煙外来 以前は禁煙にかかる費用はすべて健康保険の対象外でしたが、2006年4月より一定の基準を満たす患者に対する禁煙治療に対して保険適用されるようになりました。これには、診療機関に対しでも一定の要件が課せられている。患者側の条件として、①患者自らが禁煙を望むこと、②ニコチン依存症と診断された者、③喫煙年数×1日の喫煙本数が200以上である、④治療に関する承諾書に記述するなどの条件があります。

喫煙が健康に及ぼす影響(1)

喫煙区域や禁煙場所が増え、愛煙家にとっては肩身の狭い世の中になりました。時代の流れとしては、確実に「タバコはよくないもの」という感覚が定着しつつあります。

タバコが健康予防に及ぼす影響

(1) タバコの煙に含まれる成分  一酸化炭素:血液が酸素を運ぶのを妨げます。一酸化炭素は酸素と比較して、200~300倍も血液中のヘモグロビンと結合する力が強いため、血液の酸素の運搬機能を低下させます。

タール:肺機能を阻害して、多くの疾患にかかりやすくします。発がん性物質でもあります。
ニコチン:血管を収縮させ、血液の流れを阻害するので心臓に負担をかけるだけでなく、タバコをやめにくくします。  
発がん性物質:タバコには、タール以外にも100種類以上の発がん性物質が含まれています。

(2) 主流煙と副流煙 タバコの煙には、タバコを吸う直接の煙である主流煙と、火の着いたところから出る煙である副流煙がありますが、主流煙よりも副流煙のほうが有害な物質を多く含んでいます。副流煙は主流煙に比べて、タールが3.4倍、一酸化炭素が4.7倍、ニコチンが2.8倍含まれています。

このため、ヘビースモーカーの夫を持つ妻のがん発症率が高いことが知られています。非喫煙女性の肺がんの危険度は、男性配偶者の喫煙によって1.24倍に高まるとされています。非喫煙者の副流煙からの健康被害を防止するため、神奈川県では全国に先駆けて2010年4月1日より「神奈川県公共的施設における受動喫煙防止条例」が施行されました。これは、学校など公共の場での禁煙または分煙をより推進するものです。

(3) タバコと寿命 喫煙者は、同年齢の非喫煙者に比べて死亡する危険度が2倍高いのですが、禁煙後10~15年経過すると、非喫煙者とほぼ同じレベルになるといわれています。

(4) タバコと心臓病 タバコは動脈硬化を促進しますので、冠動脈硬化疾患である狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患の要因となります。喫煙者の発生率は非喫煙者の5倍です。しかし、禁煙後5年で虚血性心疾患によって死亡する危険度は2倍にまで低下します。

(5) タバコと脳血管疾患 タバコは脳出血や脳梗塞などの脳動脈硬化疾患の発症率を増加させます。しかし、禁煙後5~9年で非喫煙者と同じレベルにまで低下し、脳血管疾患で死亡する危険度は禁煙後5年で半分になります。

(6)タバコとがん がんで死亡する危険度は、がんの種類によっても異なりますが、喫煙者は非喫煙者の4~16倍です。多くの調査の結果、がん全体の約30%が禁煙が原因であると推定されています。喫煙が原因のひとつと考えられるがんは、肺がんのほか、咽頭がん、喉頭がん、食道がん、すい臓がん、腎うがんなどですが、さらに鼻腔・副鼻腔がん、胃がん、肝臓がん、腎臓がん、子宮頸がん、骨髄性白血病も喫煙との因果関係があるとされています。また、1日20本以上の喫煙者では非喫煙者と比べて肺がんの死亡率が8倍、胃がんの死亡率が1.8倍高いことが報告されています。

※ヘモグロビン 赤血球中に存在する鉄を含む色素(ヘム)とたんぱく質(グロビン)が結合した化合物で、酸素の運搬に重要な役割を担っている。

※虚血性心疾患 心筋自身に酸素や栄養素を供給している冠状動脈の動脈硬化によって起こる心疾患である。 日本人の死因の第2位を占める重要な疾患である。

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