アルコール飲酒

2013-09-10

アルコール飲酒

アルコール飲酒とは何か、アルコール飲酒による症状やアルコール飲酒に改善する食事療法などについて紹介。アルコール依存症にならないように生活習慣を見直しましょう!

まいにちを健康的な生活を送るために生活習慣病ガイドなど、さまざまな情報をご提供します。

アルコール適正飲酒10カ条

(社)アルコール健康医学協会は「適正飲酒10カ条」を掲げています。

(1) 談笑し、楽しく飲むのが基本です。 楽しく飲むことで、ストレスが発散されます。

(2) 食べながら、適量範囲でゆっくりと 食べることで胃腸への負担が軽くなります。食べていないとアルコールが吸収されやすく、酔いやすくなります。

(3) 強い酒、薄めて飲むのがオススメ アルコール濃度の高い酒は、食道や胃の粘膜に強い障害を与えます。できるだけ薄め飲みましょう。

(4) つくろうよ、週に2日は休肝日 毎日飲むと肝臓が疲れてしまいます。肝臓にも休暇を!

(5) やめようよ、きりなく長い飲み続け 長時間の飲酒は、アルコールの量が増えやすく、二日酔いの原因になります。

(6) 許さない、他人への無理強い・イッキ飲み 飲めない人への飲酒の強要やイッキ飲みの強要は、急性アルコール中毒を引き起こす可能性が高くなります。

(7) アルコール、薬と一緒は危険です 薬と一緒に飲むと、作用が強くなったり、弱くなったりします。特に睡眠剤との併用は危険です。

(8) 飲まないで、妊娠中と授乳期は 妊娠中にアルコールを飲むと、流産、死産、胎児の奇形などのリスクが上昇する。アセトアルデヒドが関係し、胎盤を通過し、長時間アルコールの影響を受けることで、胎児の細胞の増殖や発達に障害を起こします。授乳婦がお酒を飲むと、30分~1時間後に血中のアルコール濃度はピークに達し、母乳に摂取したアルコールの90%が移行します。 赤ちゃんはアルコールを分解する能力が未熟なだめ、アルコールの害を受けやすいので、毎日授乳している期間は控えましょう。

(9) 飲酒後の運動・入浴、要注意 飲酒後に入浴されると、血液の循環が良くなり、肝臓に血液が集まらず、アルコールの代謝速度が遅くなります。また、転倒による事故や血圧低下により脳疾患を起こす場合があります。

(10) 肝臓など、定期検査を忘れずに γ-GTP、AST(GOT)、ALT(GPT)などの検査があります。

酒量と酔いの状態の関係

酒量と酔いの状態の関係

ビール中びん(~1本)・日本酒(~1合) :爽快期 0.02%~0.04% (※)、さわやかな気分になる、判断力が少しにぶる、皮膚が赤くなるなど。

ビール中びん(1~2本)・日本酒(1~2合) :ほろ酔い期 0.05%~0.10% (※)、理性が失われる、体温が上がる、脈が速くなるなど。

ビール中びん(3本)・日本酒(3合) :酪酎初期 0.11%~0.15% (※)、怒リつぽくなる、立てばふらつく、大声でがなりたてるなど。

ビール中びん(4~6本)・日本酒(4~6合) :酪町期 0.16%~0.30% (※)、何度も同じことをしゃべる、吐き気、嘔吐がおこる、呼吸がはやくなるなど。

ビール中びん(7~10本)・日本酒(7合~1升) :泥酔期 0.30%~0.40% (※)、まともに立てない、意識がはっきりしない、言語がめちゃくちゃになるなど。

ビール中びん(10本超)・日本酒(1升超) :昏睡期 0.41%~0.50% (※)、ゆリ動かしてもお告ない、呼吸はゆっくりと深い、場合によっては死にいたるなど。

(※)はアルコール血中濃度

酒量による血液中のアルコール量の推定値を計算する式

アルコールの血中濃度(%)=飲酒量(ml)×アルコール度数/833×あなたの体重○kg

適度なアルコール量

適度な飲酒は長生きをもたらすといわれています。以下は適度な飲酒量としてアルコール換算で20gを示しています。

アルコール換算20gのアルコールとその量 ・ビール 500ml ・日本酒 1合180ml ・ウィスキー ダブル1杯60ml ・焼酎 0.6合100ml ・ワイン グラス2杯200ml

※ミトコンドリア 細胞の中にある小器官。摂取した栄養素からエネルギー、ATP(アデノシン三リン酸)を作り出す。ミトコンドリアが傷害されると、ATPが作れなくなり、細胞が死んでしまう。

アルコール飲酒と疾患

(1) がん アルコールの代謝産物であるアセトアルデヒドには発がん作用があり、飲酒と咽頭がん、喉頭がん、大腸がん、乳がんなどの関連性は確実といわれています。

(2) 高尿酸血症(痛風) アルコールが分解される際に生じる乳酸が、腎臓において尿酸排泄を抑制し、血中の尿酸値を上昇されます。

(3) 脂質異常症(高脂血症) アルコールが分解される際に使われる補酵素が少なくなり、そのために脂肪酸が燃焼されずに肝臓内にたくさん存在するために、脂肪酸からトリグリセリド、VLDLへと合成されて脂質異常症になります。

(4) 高血圧症 アルコールを多飲すると、交感神経を活性化させ、血管を収縮させ、心拍数を増やして血圧が上昇します。多量飲酒者ほど高血圧であると報告されています。

(5) 糖尿病 糖尿病患者が飲酒すると、糖尿病特有の合併症である神経障害と網膜症が進行しやすいといわれています。また多飲すると、すい臓の細胞を傷害させ、血糖値を下げるインスリンの分泌が低下する場合があります。

(6) アルコール性肝疾患 アルコールの代謝産物であるアセトアルデヒドが肝臓の細胞にあるミトコンドリアに傷害をおこさせ、肝臓の細胞が壊疽して繊維化します(肝硬変)。また、脂肪酸が燃焼されずに残るため、中性脂肪が肝臓の細胞に蓄積され、脂肪肝を引き起こします。その他にも、急性膵炎・慢性膵炎、胃・十二指腸潰瘍などがアルコールと因果関係があります。

※高尿酸血症 ビールには、プリン体が多く含まれている。プリン体は尿酸に代謝されて尿に排泄される。ビールの多飲は、尿酸がたくさん作られ、排泄も悪くなっているため、高尿酸血症のときは、禁酒が原則である。

アルコール飲酒が健康に及ぼす影響

アルコール(お酒)は、エチルアルコールが含まれた飲み物のことを指し、酒税法では、アルコールを1%以上含む飲み物であると定義されています。2007年に販売(消費)された酒類は約880万klで、日本の成人人口で換算すると、1人年間約84L、1日約230mlの酒類を飲んでいる計算になります。

※アルコールのエネルギー アルコール(エタノ―ル)として燃焼させると、1gあたり7kcalのエネルギーがある。しかし、アルコールだけを飲んでほとんど食事しない「アルコール依存症」の人には、肥満はほとんどいない。そこからも、アルコールのエネルギーが「エンプティ・カロリー」ともいわれている理由がわかり、エネルギー量は定まっていない。

アルコールは体内に入ると、胃・小腸で吸収されて肝臓に運ばれます。肝臓では、ADH、MEOSなどの分解酵素でアルコールをアセトアルデヒドに分解します。アセトアルデヒドは毒性が強く、肝臓の細胞を障害させます。アセトアルデヒドはさらにALDHという分解酵素で解毒され、無毒な酢酸になり、最終的に水と二酸化炭素になります。日本人の平均的な体格の男性(体重60kg)のアルコール代謝量は、1時間あたりアルコール6.6g程度だといわれています。

たとえば、ビール500mlまたは日本酒1合(180ml)またはウイスキーダブル1杯(60ml)はアルコールに換算すると、それぞれ約20gになります。また、アルコールを飲んでから完全に分解されるまで約6時間かかります。酒が強い弱いは、アセトアルデヒドを分解する酵素、ALDH2によって決められます。日本人はALDH2の働きが弱いといわれています。

※アルコールの代謝 アルコールは、胃で約20%吸収され、残りの約8O%は小腸で吸収される。大部分は肝臓で代謝されるが、2~10%程度は呼気、尿、汗として排泄される。

※アセトアルデヒドと二日酔いの関係 二日酔いは、処理しきれなかったアセトアルデヒドにひき起こされます。

※ALDH アルデヒド脱水素酵素のこと。アセトアルデヒドが低濃度のときに働くALDH2と、高濃度にならないと働かないALDH1がある。

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