脂質異常症

2013-04-08

脂質異常症

脂質異常症とは何か、脂質異常症の症状・原因や脂質異常症を予防・改善する食事療法などについて紹介。脂質異常症にならないように生活習慣を見直しましょう!

まいにちを健康的な生活を送るために生活習慣病ガイドなど、さまざまな情報をご提供します。

脂質異常症の注意点

1) レトルト食品やインスタントラーメン、スナック菓子などには、飽和脂肪酸を多く含むヤシ油、パーム油が使われているので注意が必要です。この飽和脂肪酸が多いと コレステロールやトリグリセリドを増やす作用が増加するといわれています。

2) 喫煙はHDLコレステロールを減らす作用があり、脂質異常症の原因といわれています。喫煙者には1日10本以内に制限することが推奨されます。

3) 食事のとり方としては、和食を中心とし、中華や洋食は控えることが望ましい。さしみ、焼き魚、和え物、鍋物、野菜の煮物、豆腐料理など。

4) 運動不足と肥満は、HDLコレステロール値の減少を招きます。運動は適度に毎日行うことが効果的です。週末だけ運動するのではなく、1日数分でもいいので、毎日継続的に行うことが肝要です。 HDLコレステロール値の上昇は、有酸素運動により上昇します。特に早足によるウォーキング(30分程度)を1日2回行うことが推奨されています。

5) 積極的に魚油の摂取をする。魚油にはコレステロールやトリグリセリドを増やす作用はありません。イワシやサバなど青魚に多く含まれているDHAなどの脂肪酸は、動脈硬化を予防する働きがあります。

脂質異常症の予防と治療

脂質異常症の基本的な要因はエネルギー摂取によるものです。よってその治療も食事療法によって治癒します。エネルギーの適正化とは、適正体重BMI※を22に維持することで図ることができます。

※適正体重(BMI)とは、Body Mass Indexの略で、体重(kg)÷身長(m)×2で求められます。22が標準値で25以上を肥満、18.5未満をやせとして判定します。

食事療法には、主にLDLコレステロール値が高い場合とトリグリセリド値が高いの2種に分けられます。

1) LDLコレステロール値が高い場合の食事療法

基本的なことは食べ過ぎに注意することです。LDLコレステロール値が高い場合に特に注意して摂取すべき食品は以下のとおりです。

・肉類 ・鶏卵 ・魚卵、うに、かにみそなど ・丸ごと食べる魚(しらす、ししゃも、めざし、さんま、あゆ) ・もつ(焼き肉、串焼き、レバー、もつ煮込み) ・脂肪分の多い食品(チョコレート、牛乳、バター) ・糖分

逆に以下の食品を積極的に摂取するよう心掛けます。

・海藻類、きのこ類、こんにゃくなど ・食物繊維を多く含む食品 ・大豆、脂肪分の少ない肉(赤身、ひれ)、鳥ささみ、魚 ・良質なたんぱく質を多く含む食品

2) トリグリセリドが高い場合の食事療法

トリグリセリドが高い場合の食事制限は特に厳格に行います。以下の食品については、厳しい制限ないし摂取の禁止が望まれます。

・菓子類(特にようかん、大福、饅頭、ケーキなど) ・アルコール飲料 ・果物(果糖は中性脂肪になりやすい) ・砂糖入り飲料(サイダー、ジュース、加糖コーヒーなど) ・煮物類(砂糖、みりんの使用があるため) ・炭水化物の摂り過ぎ(ごはん、パン、麺類など) ・イモ類(じゃがいも、サツマイモ、山芋などはすべて糖質なので)

トリグリセリドは、主に糖質が原料となって作られている脂肪のため、上記のように糖質が原料、または糖質になりやすい成分の食品の摂取はしないよう気をつけます。

脂質異常症と合併症

脂質異常症により引き起こされる合併症は以下のとおり。

肥満 : 家族性高コレステロール血症は少ない。たとえば糖代謝が悪くなり、血中のインスリンが増加し、トリグリセリドの高値と伴った脂質異常症が多い。

糖尿病 : 脂質異常症では耐糖能障害を伴うことが多い。

痛風 : 多くは肥満、低HDL血症との合併となる。

脂肪肝 : アルコール、糖質過剰、エネルギー過剰が主な原因。

膵炎 : トリグリセリドが1000mg/dl以上で発症しやすくなる。

黄色腫 : 高LDL血症、コレステロールが増加。発生率が高い。目頭やアキレス腱などにできる黄色腫が脂質異常症の症状として現れる。

粥状動脈硬化 : アテローム動脈硬化とも呼ばれ、動脈の内壁にコレステロールなどの脂質が溜まり、粥腫(アテローム)と呼ばれる膨らみを形成する。動脈壁の内膜をせまくするため、脳や心臓病などの原因となる。

脂質異常症の基礎知識

動脈硬化の原因となり、多くの合併症を引き起こす可能性の高い脂質異常症は、食生活と大きくかかわりあう疾患です。脂質異常症とは、血液中の脂質のうち、LDLコレステロール※またはトリグリセリド(TG)※のいずれか一つ、または両方が上昇した状態、

またはHDLコレステロール※が低下した状態をいいます。かつては、高脂血症といわれていた時期がありましが、低HDL血疾患の方が、より動脈硬化の危険因子となることがわかり、現在はLDLコレステロールの管理がより重要視されるようになりました。

そのため、総コレステロール値に関してはあまり問題にされなくなり、呼び名も高脂血症から脂質異常症と変わりました。

※LDLコレステロール : 一般に悪玉コレステロールと呼ばれています。全身の必要なところにコレステロールを運ぶ役割を担っており、低比重リポタンパクとも呼ばれています。LDLコレステロール自体が悪いのではなく、酸化すると悪玉に変化します。

※HDLコレステロール : 一般に善玉コレステロールと呼ばれています。全身にある余分なコレステロールを肝臓に引き戻す役割を担っており、高比重リポタンパクと呼ばれています。

動脈硬化性疾患予防ガイドライン2007年版によると、脂質異常症の診断基準は以下の数値になります。

・高LDL血症 140mg/dl以上 ・高TG血症  150mg/dl以上 ・低HDL血症 40mg/dl未満

また、WHOによる脂質異常症は以下のとおり分類されています。

Ⅰ型 : 発生頻度は極めてまれ。トリグリセリドの著しい増加。動脈硬化の危険性はない。

Ⅱ型 : 高LDL血症、コレステロールが増加。発生率が高い。

Ⅱb型 : 高LDL・VLDL血症、コレステロールおよびトリグリセリドともに増加。発生率が高い。

Ⅲ型 : コレステロールおよびトリグリセリドともに同程度増加。発生率は低い。

Ⅳ型 : 高VLDL血症、大半はVLDLの合成亢進。コレステロールは正常または増加。トリグリセリドは増加。発生率が高い。

Ⅴ型 : 発生頻度は極めてまれ。

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