脂肪肝

2012-03-25

脂肪肝

脂肪肝とは何か、脂肪肝の症状・原因や脂肪肝を予防・改善する食事療法などについて紹介。脂肪肝にならないように生活習慣を見直しましょう!

まいにちを健康的な生活を送るために生活習慣病ガイドなど、さまざまな情報をご提供します。

脂肪肝の予防

過栄養性脂肪肝の予防は比較的簡単です。

1) 脂肪、糖質を摂り過ぎないよう気をつける。脂肪を多く含む食品は高エネルギーです。缶ジュースや炭酸飲料なども糖類を多く含んでおり、肝臓でトリクセリセリド(脂肪)に合成されます。余分なエネルギーは脂肪として蓄積させやすいので注意します。

2) 食物繊維、ビタミンを積極的に摂るようにします。糖質の代謝にはビタミンB1が、脂質の代謝にはビタミンB2が、肝細胞の修復・再生にはビタミンB12が有効です。積極的にこのようなビタミン類を摂りましょう。また、食物繊維は腸からの脂肪吸収を遅らせる作用があります。

3) アルコール類の飲酒を制限します。アルコールは、炭素、酸素、水素の化合物であり、その構成物質は脂質とまったく同じです。過度の飲酒は、体内でアルコールが脂質に合成され、脂肪肝の原因になります。

4) 休肝日を設ける。健康的にアルコールを飲めるよう、休肝日を3日に1日の割合で設けましょう。

5) 適度な運動をします。過栄養性脂肪肝は余分なエネルギーが脂肪となって肝細胞に蓄積する状態なので、食事制限のほかに、適度な運動による脂肪の燃焼が有効です。無理せず手軽なスポーツなどで毎日続けることが大切です。

アルコールの過飲による脂肪肝も、その多くがアルコール性脂肪肝ではなく、脂肪が肝細胞に蓄積する過栄養性脂肪肝といわれています。その内臓脂肪が多い状態は、動脈硬化や心筋梗塞などの心臓病、脳梗塞など生命に関わる病気を引き起こす要因となります。

脂肪肝自体は生活習慣病ですが、高血圧症、脂質異常症、糖尿病などの合併症を併発させることがしばしばあります。肝細胞に蓄積されたトリクゼリセリド(脂肪)を燃焼させることは、極めて重要なことです。

脂肪肝の原因と治療

脂肪肝の原因は、アルコール性と非アルコール性に分けられます。アルコール性についてはアルコールの飲み過ぎによるもので、非アルコール性については、以下の4つがあります。1) 肥満、2) 糖尿病、3) 脂質異常症、4) ホルモン剤などによる副作用など。

生活習慣病である脂肪肝の中で、最も多いのが過栄養性脂肪肝です。この種類は食事療法によって確実に治癒できます。暴飲暴食などの過食、運動不足になどによって多くの患者が肥満を伴っています。また、自覚症状がまったくなく、ALT(GPT)、AST(GOT)といったトランスアミナーゼの上昇も見られない場合があります。多くは入院までは必要ありません。外来治療によって、食事療法と運動療法によって完治します。

過栄養性脂肪肝の食事療法ですがも、基本的に低エネルギー食にして、溜まった脂肪を燃焼させ、体重の減量をします。肝臓病といっても元は健康体ですので、運動療法による併用も行います。脂肪は皮下脂肪、内臓脂肪があり、この治療で肝臓に蓄積された内臓脂肪を燃焼させることが重要です。

過栄養性脂肪肝の食事療法(1日の食事目安) 1) エネルギー 1200~1600kcal 2) たんぱく質 1.0~1.5g/kg 3) 糖質    100g以上 ※上記の条件を満たせば、脂質の制限はありません。

脂質の制限がないのは、脂質の消化には時間はかかりますが、ほとんどが消化・吸収されるため、空腹感の予防になるからです。エネルギー制限を守れば、肝細胞に脂肪が蓄積する心配はありません。そのため、エネルギー対比で高脂質食物の摂取が有効です。

過栄養性脂肪肝以外にも、極端な偏食やダイエットによる低栄養性脂肪肝や、アルコールの過飲によるアルコール性脂肪肝の場合は、入院治療となることが多く、食事療法も破壊された肝細胞を修復させるために、高蛋白・高エネルギー食の食事をさせます。

脂肪肝の基礎知識

肝臓は人体の化学工場ともいわれており、様々な酵素、ホルモンなどの生成、合成を行なっています。以下、肝臓の主な機能です。

1) 栄養素およびアルコールの代謝 2) 血液中にビタミン、ミネラルの貯蔵 3) 酵素やホルモンの合成 4) 解毒機能 5) 胆汁の生成、合成

肝臓における脂肪貯蔵量は普通2~5%程度といわれています。医学的には、これ5%以上を超えた肝臓のことを脂肪肝といいます。肝小葉の1/3以上の肝細胞に脂肪化が認められる状態となります。これは肝臓にトリグリセリド※の異常蓄積によるものです。

※トリグリセリドとは、一般的に中性脂肪と呼ばれています。中性脂肪には、モノグリセリド、ジグリセリドもあります。ただ、自然界に存在するのは、ほとんどがトリグリセリドであるため、トリグリセリド=中性脂肪として使われています。

脂肪肝の診断には、一般的に超音波診断が行なわれ、逸脱酵素(ASTやALTと呼ばれている酵素※)といわれる肝細胞に含まれている酵素が、肝細胞を破壊し、血中に放出され数値が正常値より上昇します。脂肪肝と呼ばれる症状は、肝重量の40~50%が脂質(大部分がトリグリセリド)となっています。

※逸脱酵素とはASTやALTと呼ばれる酵素は、それらの酵素を含む臓器が障害を受けたときに、血液中に放出されるため、逸脱酵素と呼ばれています。

また従来、脂肪肝と診断され、その原因が過栄養性の場合、肝硬変まで発展することはないと考えられていましたが、最近の研究で、アルコールを飲まない肥満患者に、アルコール性肝炎に類似した肝硬変が起こる非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)と呼ばれる病状から、肝硬変にまで至る事例があり、あらためて肥満解消、ダイエットの重要性が認識されています。

注) 生活習慣病とは呼べない肝炎、肝硬変に関する詳細はここでは説明しません。

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