肥満症

2012-03-10

肥満症

肥満症とは何か、肥満症の症状・原因や肥満症を予防・改善する食事療法などについて紹介。肥満症にならないように生活習慣を見直しましょう!

まいにちを健康的な生活を送るために生活習慣病ガイドなど、さまざまな情報をご提供します。

肥満の原因と治療・予防

肥満の原因は何といっても食べすぎによるものが最大の原因です。特に動物性脂肪の摂り過ぎなど、近年の食事の欧米化により、摂取エネルギーが必要エネルギーを上回り、過剰なエネルギーが脂肪として蓄積されます。

食べすぎとは、食習慣の偏りが原因です。まとめ食い、早食い、間食などと肥満の因果関係が報告されています。早食いに関していえば、自覚症状で自分は食べるのが早い方だと自己申告されたグループとそうでないグループでは、食べるのが早い方と申告された人の食べる量が多かったことがわかりました。

肥満の原因の第二は運動不足です。活動量の低下が筋肉量や基礎代謝量の低下を招き、脂肪がつきやすい体質を作り出します。適度に運動することは健康維持・増進に貢献します。

肥満には遺伝的な要素もあります。親の肥満は子供にも遺伝するということがわかってきました。肥満になりやすい家庭環境も大きく影響されます。また、何らかの病気で肥満になることもあります。多くは薬の影響によるもので、二次的肥満といいます。

肥満の治療と予防については、次のことは留意しなければなりません。

1) 一日の必要消費エネルギー量を知り、無理な食事制限をしないこと。 2) 食事のバランスを考え、食事内容を常に確認します。場合によってはサプリメントなどの服用により、過少な栄養素を補給する必要もあります。 3) 一日3回、規則正しく均等に食事を取ること。意外と重要なことです。一度にまとめ食いをすると、エネルギーが吸収されにくく、脂肪が溜まり易くなります。 4) ゆっくりよく噛んで食べること。ゆっくりよく噛むことで、食事誘発性熱産生※が高まり、消費されるエネルギー量が多くなります。 5) 寝る前にはなるべく食べないようにします。食事誘発性熱産生は朝食後が一番高く、夜遅くなるほど低下します。 6) 間食などはできるだけ少なくします。 7) できるだけ体を動かす、運動を習慣づける意識を持つこと。運動不足になると筋肉量が減り、基礎代謝量も減ります。基礎代謝量とは一日の必要消費エネルギーですので、その基礎代謝量が減るということは、以前と同じ食事をしていても、基礎代謝量が減ったことにより、体に脂肪がつきやすくなるということです。

※食事誘発性熱産生 食後に消化・吸収・代謝・貯蔵されるエネルギーが消費される反応のことをいいます。つまり、食事をする度に消化・吸収・代謝・貯蔵されるのですが、その作用が熱エネルギーとされ、消費される反応のことをいいます。この反応が高いと消費されるエネルギー量が多くなります。

肥満症の基礎知識

生活習慣病の基礎知識とその治療と予防というシリーズで話していきます。第一回シリーズでは肥満症にフォーカスを当てて、その基礎知識から治療、予防という形で、話を進めていきたいとおもいます。

「肥満」とは、正常な状態より体重が多い、体脂肪が多く蓄積している状態をいいます。ちなみに、世界保健機構(WHO)の「肥満」の定義は、脂肪組織が過剰に蓄積した状態をいいます。

肥満は身長あたりの体格指数(BMI Body Mass Index)=体重(kg)×身長(m)で判断します。※

---------------------------------             |     BMI ---------------------------------  低体重(やせ) |   18.5未満 ---------------------------------  普通体重     |   18.5以上  25.0未満 ---------------------------------  肥満(1度)     |   25.0以上  30.0未満 ---------------------------------  肥満(2度)     |   30.0以上  35.0未満 ---------------------------------  肥満(3度)     |   35.0以上  40.0未満 ---------------------------------  肥満(4度)     |   40.0以上 ---------------------------------

平成21年の「国民健康・栄養調査結果(厚生労働省)」では、肥満者(BMI≧25)の割合は、男性30.5%、女性20.8%となっています。男性の20~60歳代では、肥満者の割合が前年に比べ2.1%多くなっていますが、平成12年以降、それ以前の5年間に比べ肥満者の割合の増加傾向が鈍化しています。

また、同調査結果では、体重管理を心掛けている人は男性で7割、女性で8割にものぼるが、メタボリックシンドローム予防・改善のための食事や運動をしている人は3割に満たないとの結果です。

血液検査で異常がなく、慢性的にひざ・腰が痛いなどの整形外科疾患などがない肥満の人は問題がありませんが、血圧が高い、コレステロール値、血糖値が高いなど健康障害が出て、減量の必要性がある方は肥満症と認識されます。   ※BMI 身長と体重の関係から算出された指数で肥満度を表す。ベルギーのアドレフ・ケトレー氏が1835年に考案され、肥満度を測る指数として、広く世に使われています。身長と体重のみの計算なので、スポーツ選手など筋肉量の多い方には適さない。

肥満に関連する健康障害は多々あり、有名なところでは、糖尿病(2型)高血圧、高尿酸血症、痛風、脂肪肝、心筋梗塞などがあります。その他に睡眠時無呼吸症候群、脳梗塞、脳血栓、冠動脈疾患、狭心症、脂質代謝異常、整形外科的疾患(変形性関節症※、腰痛症など)、月経異常などがあります。

※変形性関節症 軟骨が磨り減ったり、無くなったりして、ひざ・こしの形が変形し、痛みや痺れをきたします。肥満であるとクッションの役目をしている軟骨に過度な負担がかかり、軟骨の磨耗・消失などが早くなり、骨同士がこすれあい、当部位が変形していきます。自覚症状に程度があり、少なくとも1000万人以上の患者がいると推定されています。

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