骨粗鬆症

2012-09-05

骨粗鬆症

骨粗鬆症とは何か、骨粗鬆症の症状・原因や骨粗鬆症を予防・改善する食事療法などについて紹介。骨粗鬆症にならないように生活習慣を見直しましょう!

まいにちを健康的な生活を送るために生活習慣病ガイドなど、さまざまな情報をご提供します。

骨粗鬆症の食事療法

昔の食事は、カルシウム含有の豊富な牛乳や乳製品をそれほど摂取していませんでした。それでも骨粗鬆症にはなりにくかったのです。それはカルシウムを多く含む日本の伝統的な食品を日常的に食べていたからです。 現在は、カルシウムを多く含む食品を食べる一方で、カルシウムを消耗してしまう食品(加工品)を多く食べるようになり、骨粗鬆症が増えている原因と考えられています。

<カルシウムの吸収を妨げてしまう食品> 砂糖を多く含む菓子類、リンを多く含む加工食品(ハム、ソーセージ)、インスタント食品(食塩を多く含む)は、カルシウムの吸収を妨げます。

<カルシウムを多く含む食品> 野菜 小松菜、春菊、かぶの葉、大根の葉など 海産物 えび、ししゃも、いわし(丸干など)、小魚、海草など 乳製品 牛乳、ヨーグルト、チーズなど その他 ごま、豆腐、生揚げ、がんもどきなど

日常の食事では、カルシウムの十分な摂取に加えて、ビタミンD※1の摂取、ビタミンK※2の摂取、イソフラボン※3の摂取に心掛けましょう。ビタミンDはカルシウムの吸収を促進します。ビタミンKは骨の形成を助けるオステオカルシンというたんぱく質の合成に必須です。イソフラボンはポリフェノールの一種で、分子構造が女性ホルモンによく似ています。血中イソフラボンが多い人ほど骨密度が高いといわれています。

※1 ビタミンDを多く含む食品 レバー、かつお、いわし、さんま、さば、干椎茸など ※2 ビタミンKを多く含む食品 納豆、ブロッコリー、レタス、芽キャベツ、キャベツなど。 ※3 イソフラボンを多く含む食品 きな粉、納豆、生揚げ、豆腐など

骨粗鬆症の薬物療法

骨粗鬆症の治療には薬物療法と食事療法があります。

(1) 女性ホルモン(エストロゲン) エストロゲンの骨に対する主な作用は骨吸収抑制作用と説明しました。そこで閉経後、エストロゲンの欠乏が原因で発症する閉経後骨粗鬆症には、エストロゲン補充法が有効です。 しかし、閉経後あるいは卵巣摘出後、3~6年以内に投与しないとその効果は認められず、また途中で投与を中止すると逆に骨量の減少速度が増し、いずれは投与しない場合と同じ程度にまで低下してしまうといわれています。

(2) カルシトニン カルシトニンとは、骨吸収を抑制する薬剤のことです。骨量の減少を抑える働きがあり、腰背部の痛みを軽減する効果があります。

(3) 活性型ビタミンD 骨粗鬆症患者は腸管からのカルシウム※吸収能力が低下しているため、活性型ビタミンDを投与することによって、腸管からのカルシウム吸収を促進させます。

※カルシウム 厚生労働省はカルシウムを1 日に600mgを目安として摂取するようにと勧告しています。特に高齢者は800~lOOOmg(1g)程度摂ることが推奨されています。実際は平均的なカルシウム摂取量は550mgと言われています。高齢者は特に意識して摂取することが望まれます。

骨粗鬆症が女性に多い理由

骨粗鬆症にかかりやすい人は、痩せすぎ、偏食が多い、極端なダイエットなどの経験がある人に多く、たばこの吸い過ぎ、アルコールの多飲、コーヒーの飲み過ぎという人も注意が必要です。 特に未成年のうちから飲酒、喫煙の習慣があり、美しくなりたいからと極端なダイエットを行っている若い女性は特に注意する必要があります。 骨粗鬆症が中年以後の女性に多いのは、女性ホルモンの急激な減少が原因といわれています。女性ホルモンは、骨のカルシウムが血液中に出ていくのを抑える働きをもっており、これがなくなると、壊れる骨の量が多くなってしまうのです。

女性に多い病気の原因として考えられる理由 (1) 女性の骨は男性に比べると細くて軽い。 (2) 女性の方が筋肉が弱く、運動不足が多い。 (3) 骨を保護する働きのある女性ホルモンが、閉経後は卵巣から分泌されなくなる。

骨粗鬆症の症状

骨がもろくなると、ちょっとした衝撃や圧迫がかかったりしたりすると、簡単に折れたり潰れたりしてしまいます。高齢者がちょっと転んだだけで骨折したという話を聞きますが、そうした些細なことで骨折するのは骨粗鬆症と診断されます。 骨粗鬆症により大腿頚部を骨折、そのまま寝たきりとなることも少なくありません。特に骨折しやすいのは、肩、手首、腰、大腿部などです。

次のような症状があれば骨粗鬆症と疑われます。 (1) 腰痛(重いものを待ち上げたら急に腰が痛くなる) (2) 背骨が丸くなる。 (3) 身長が縮む。 女性の場合は50歳を過ぎてから、男性の場合70歳を過ぎてから始まる人が多いようです。

自分でわかる骨粗鬆症のチェック (1) 歩きはじめや体を動かすときに腰が痛む。 (2) 背中がだるい。 (3) 背中が痛い。 (4) 腰や背中の痛みがなかなかとれない。 上記のような症状があると骨粗鬆症を疑う必要があります。

骨粗鬆症の基礎知識

「鬆」とは、毛髪が1本1本別になっている様子を表しています。漢字の意味するとおり、1本1本分かれて間がすいていることを表しています。骨粗鬆症は人口の高齢化とともに急激に増加しています。しかも、高齢者に多い寝たきり状態の骨折や、脊椎変形の原因となっています。

骨量の減少は年齢とともに起こりますが、すべての高齢者が骨粗鬆症になるわけではありません。一般に骨の量が減ってくる状態を骨減少症と呼んでいます。骨はコラーゲンというたんぱく質からできている基質に、カルシウムとリンからできている結品が沈着してできています。その基質と結晶(骨塩)との比が一定のまま、つまり、化学的な組成に変化のないまま両方とも減ってしまう状態が骨粗程症です。

つまり、骨粗鬆症とは、骨のカルシウムが溶け出し、骨がすかすかの軽石のようにな状態をいいます。骨も細胞の一種で、古いものは壊されて、また新しいものに生まれ変わるということを繰り返しています。この新陳代謝を骨吸収と呼ばれています。健康な骨の状態は、硬い石のように密度があります。

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